イギリス人のフィットネス人口は日本の5倍!!ダイエットだけじゃない?ロンドンっ子のフィットネス利用最新事情

フィットネス途上国日本との違いとは?

 エスダムスメディアJAPANでは、世界各国に駐在しているエスダムス海外特派員より届いた、まだ日本では知られていないリアルなローカルニュースを配信しています。今回はヨーロッパの中でもジム好きが多いことで有名な、イギリスのフィットネス事情について紹介します。

  •  ヨーロッパの中でもジム好きが多いことで有名なイギリス。総人口の15%が何らかの形でフィットネスに通うのに対し、日本のフィットネス人口は3%程度という事実。フィットネス先進国のイギリスと日本の差はおよそ5倍にのぼります。今回は両国でのフィットネスのあり方について調べてみました。

     

    • まだまだフィットネス発展途上の日本に、これからブームがやってくる!?

     2018年日本のフィットネスクラブの会員は約330万人で参加率は3.3%。その後も参加率は3%強と横ばいで推移しています。そして2020年コロナの影響を大きく受けたフィットネス業界は、売り上げが33.2%減少、金額にすると約−800億円の2,200億円。会員数は20%減少し約270万人という結果となりました。(国際ヘルス・ラケット・スポーツクラブ協会調べ(IHRSA)、業界動向.com等)帝国データバンクの調査では、2020年度の1年間で倒産や廃業に追い込まれたフィットネスやジムは25件以上にのぼり、これは過去10年間の中では最多であり、リーマンショックが大きく影響した2008年度の29件に迫る結果となっているそうです。

     これに対し、イギリスには7,000以上のフィットネスクラブがあり、会員は1千万人を超えています。市場売り上げは約20億ポンド(3,300億円)ですが、フィットネスへの参加率が日本のおよそ5倍の15%という結果になっています。そして同じようにコロナの影響を受けフィットネスやジムの数が減少しているにもかかわらず、今年2022年には39億ポンドの利益を生み出すと推測されています。その秘訣は後半で説明します。

    • ダイエットのためにジムへ通う日本、健康管理のためにジムへ通うイギリス。その違いとは!?

     日本では多くの人がダイエットや痩せるための手段としてフィットネスが使われています。海外では意外にもダイエット目的でフィットネスを利用する人はそれほど多くありません。この背景には医療の違いが関係していると言われています。

     日本には国民健康保険があり、1−3割の自己負担でみんなが平等に怪我や病気の治療を受けることができます。イギリスの国民健康保険(NHS)は、国民は無料で治療を受けることができますが、たとえ緊急であってもすぐにみてもらうことはほとんどできません。診察や治療を受けるために数ヶ月間待つということも普通です。またイギリスにはNHSとは別に多くのプライベート病院が存在し、そこでは10割の自己負担をすることで待つことなく治療を受けることができます。そのためイギリスでは、怪我や病気をしないためにできること、健康を維持するために必要なこと、としてフィットネスを日常生活の中に積極的に取り入れている人が多いのかもしれません。

     また高齢化という視点で見てみると、イギリスは世界的にも高齢化率が高い国のひとつですが、日本は28.4%と世界トップ。そんな日本のフィットネス普及率はイギリスの5分の1なのです。ここには、ダイエット目的でフィットネスを利用する人が多い日本と、予防医療や生活習慣のひとつとしてフィットネスを利用する人が多いイギリスという大きな違いがあります。今後日本でもみんながセルフケアのひとつとしてフィットネスに通う日がくるかもしれませんね。

    • コロナ禍で新しいビジネスモデルも登場。7年ぶり減少に転じた英国ジムの経営事業

     ヨーロッパの中でもフィットネス人口が比較的多いイギリスですが、コロナの影響でフィットネスから多くの人が離れました。1年間で40件以上のジムがなくなり、7年ぶりにジムの施設数が減少。過去2年間でフィットネスの会員をやめた人はおよそ40%にのぼります。会員離れする原因の多くはフィットネスの設備にありました。会員の89%が全てのマシーンを正確に使用することが難しい、半数以上の人が自分よりも経験豊富な人が多いことや自分が使っているマシーンを待っている人がいることを退会理由として述べています。(Samsung Newsroom UK等)ある一室にたくさんのマシーンが並べられていて何でもできるジムは一昔前。今は“ブテッィクジム”と呼ばれる特定のエクササイズに特化したジムが人気になっています。実際にあるアンケートでは、会員の半数以上が楽しみながらエネルギーを消費できるクラスを開催して欲しい、ヨガやピラティスなどメンタルヘルスも一緒にサポートしてくれるクラスを提供してほしいという要望があったそうです。

     これらの要望を取り入れながら、根底にある原因を改善した新しいビジネスモデルのフィットネスが、この度ロンドンで本格的に始動しました。それが“RETRA”というフィットネスジムです。

     

     コンセプトは、楽しく・速く・効果的なトレーニングを手頃に体験できるというもの。創設者で責任者のChristopher(クリストファー)を中心とし、長年の研究と開発の末生まれた新モデルです。手頃な価格で、ブティック並の環境を備えた施設。周りの目を気にすることや誰かと競い合うこともなく、自分のペースで快適にトレーニングをすることができ、専門性の高いトレーナーが私たちの目標達成をサポートしてくれます。

    Christopher(クリストファー)

     「フロリダでたくさんのジムやフィットネスを偵察しました。良い点と悪い点を見つけ、ひたすら情報収集をしました。例えば、時間とお金を無駄にしたトレーニングをしている人が多いことや、1時間のクラスには1人のトレーナーに対し20人ほどのメンバーしか参加できないことなど。その後はロンドンへ戻り、これまでの経験を生かしながら新しいフィットネスのモデルを考えました。そして試行錯誤を繰り返しながら完成したのが、この“RETRA”というフィットネスです。これだけ限られたスペースの中でも、時間や人数に縛られることはありません。質の高いメニュー内容やこのフィットネスのつくりは全てオリジナルで、会員メンバーは好きな時間に来て自分のペースで運動することができます。残念なことにオープン直後、イギリスはロックダウンとなり長い間閉鎖せざるを得ませんでしたが、今年に入りイギリスはほぼコロナ前の生活に戻ってきたので、このフィットネスを本格的に再始動させました。嬉しいことにトライアルに来てくれた多くの人は、そのまま会員になることを選びます。今後はロンドンにとどまらず、インドなど海外進出も考えています。」

     1回の運動が30分で、スポーツ科学に基づいた1200のエクササイズから毎日異なる内容のメニューが提供されます。月・水・金は有酸素運動がベースになったエクササイズで、1分間のエクササイズ→30秒間の休憩を繰り返し、計20個のエクササイズを行います。火・木・土は強度を重視したトレーニングで、1分間のトレーニング→30秒間の休憩をそれぞれ2回繰り返し、計10個のトレーニングを行います。

     実際にトレーニングのメニューを体験させていただきました。まず施設がきれいでシャワー室も充実。トレーニング中は、トレーナーの方が私のレベルにマシーンを合わせてくれたり、どんな時も声をかけてくれて背中を押してくれたので、常に楽しくモチベーションを保ちながら運動することができました。自分の空いている時間に自由に参加することができるし、30分という短時間で効果的に全身の筋肉を使ったメニューになっているので、とても満足度が高いフィットネスだと感じました。利用者の年代も幅広く、アスリートの方やデスクワークを終えた会社員の方、私のように普段運動をしていない人にもパーソナルトレーナーがサポートしてくれました。またこのフィットネスを利用している65%は女性だそうで、何も気兼ねすることなくトレーニングすることができました。

     

     
    施設内の様子

    【店舗概要】
    RETRA FITNESS
    所在地:14 Hermitage St, London W2 1BH

    フィットネス会員の方のコメント

    ・30代、女性「仕事終わりにここに来るのが私の習慣よ。1人で通っている人も多いし、綺麗な施設だし、みんなフレンドリーだから楽しくトレーニングしているわね。」

    ・20代、男性「カラダづくりだけじゃなくて気持ちもリフレッシュできるから、できるだけ毎日ジムで運動している。おかげで夜はいつも赤ちゃんのようにぐっすり眠れる。僕の生活の中に必要なルーティンだね。」

    ・30代、女性「私は細くて筋肉がなかったから、カラダを強くしたくてジムに通い始めたわ。もともとはベジタリアンの食事を中心にしていたけど、ジムに通い始めてからは、タンパク質をちゃんと摂取できるようにと思って、今はお肉も食べるようになったの。少しづつ筋肉もつき始めてきたわ。」

     ジムが7年ぶりに減少したイギリスですが、このような新しいビジネスモデルを駆使し、今後もフィットネス業界を盛り上げてくれるでしょう。

    イギリス特派員 キャリーさん■ライタープロフィール

    Carrie(キャリー)

    ロンドン在住の26歳。貿易会社を経営する傍ら現地在住ライターとしてイギリス発祥やイギリスに初登場したお店、SNSで人気の商品や現地で話題のものなどをタイムリーに発信中。「旅行が難しいこんな世の中ですが、少しでも現地の雰囲気がみなさんに届けられると嬉しいです。読んで、見て、訪れて、楽しい時間を一緒に過ごしましょう」

     

     

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